ロシア語は強弱アクセントの言語

ロシア語のアクセントは「強弱アクセント」というアクセントで、英語のような「高低アクセント」ではありません。このことに違和感を覚える人が結構いるものです。ロシア語ではウダレーニエという「長く強く読む」場所があるのですが、二つ以上の母音がある単語では、どこか一箇所ウダレーニエが必ずあります。

つまりアクセントが必ずあるということです。このアクセントの位置は、一つ一つ覚えていく必要があります。慣れてくればどこにウダレーニエがありそうなのかが分かるようになるのですが、それには語彙力が必要となります。

ロシア語の単語が何故長いのかというお話をしたときに、ロシア語は造語力が高い言葉で複合語を形成するので長くなるというお話をしました。ある単語が複合語であることが理解できれば、接頭語や接尾語にアクセント(つまりウダレーニエ)があるはずがないですし、きっと複合語を構成する要素の中で最も本質的な部分にアクセント(つまりウダレーニエ)があるということが想像できるようになります。これが出来るようになるためには複合語を形成する各要素の単語を覚えている必要があり、つまりは語彙力がある程度ついた段階で初めて身につく力なのです。

初学者用のロシア語の参考書にはアクセントの位置にはアクセント記号をきちんと打ってありますから、初学者はそれを参考に発音の練習をするといいですね。
しかしインターネットでロシアの新聞「プラウダ」のWebサイトを覗いてみるとアクセント記号のついていないキリル文字の原文が怒涛のように押し寄せてきます。いつかこのような原文もスラスラ読めるようになることを夢見て勉強を続けましょう。

ちなみにこのサイトを読み終えた段階でWebページを見て大意を掴むことは出来るようになってもらうつもりです。

では前節で勉強したキリル文字の知識を使って次の単語を発音してみてください。
ロシア語の発音の変化 4つのポイント

ウダレーニエがおかれているところは「長く強く発音」してくださいね。では行きます。

1.Я вас люблю
2.бефстроганов
3.пирожки
4.студент
5.футбол

どこかで聞いたことのある言葉が多かったのではないでしょうか?では正解の発表です。

1.ヤー・バース・リュブリュー
発音は問題ないですか?ウダレーニエが置かれていない母音についての音の変化はこの問題の場合にはなかったですね。意味は「I love you.」です。より直訳的に書くと「I you love」のような語順になっています。

ロシア語では後で詳しくご説明するとおり、格変化と言って、「○○を」「○○は」などのように日本語では助詞(特にこれを「格助詞」といいます)を使って文の中における役割をあらわすところを、単語の形を少し変化させるという特徴があります。これがロシア語の難しいところでもあるのですが、この文法のおかげでロシア語では語順が比較的自由になり、文学的な表現では語順の自由さがフルに生かされます。

たとえばこの問題の場合でも「ヤー・リュブリュー・バース」という語順で話しても十分に通じます。「あなたを」を強調したいときには「バース・ヤー・リュブリュー(私はほかならぬあなたを愛しているのです)」という語順にすることができます。まずはこの問題文の語順で覚えておきましょう。

2.ウダレーニエがあるところを長くそしてはっきりと発音しますから「ヴィエーフフトラガナフ」のような音に聞こえるはずです。「o」の音は、ウダレ ーニエが置かれているときには口を丸く前に突き出すようにして発音するはっきりした「オ」の音になりますが、ウダレーニエがない場合には、「オ」と「ア」の間のようなあいまいな音になります。サワークリーム仕立ての牛肉料理として有名な「ビーフストロガノフ」のことですね。

3.次は「ピラシキー」と発音しますね。最初の「o」の音はカタカナで書くと「ア」の音ですが、「オ」と「ア」の間のようなあいまいな音のことです。もちろんロシア料理として有名な「ピロシキ」のことですよ。「オ」と「ア」の間のあいまいな音といわれてもかえって難しいと感じる人がいたら、日本語の「オ」のつもりで発音すると比較的この音に近くなります。ウダレーニエがおかれている「オ」の音は、口を丸く前に突き出して発音する音ですが、日本語の音には存在しません。英語の時間にこの「o」の音を勉強しているのではないでしょうか?

4.次の発音は「ストゥジェーント」となります。ウダレーニエが置かれている部分が「イェー」の音だということは問題ないと思いますが、ロシア語の「d」に相当する文字、つまり「д」の音は、このような音になるということは音声を聞いてよく勉強してくださいね。英語の「d」とちょっと違う音になっています。

5.次の発音は「フトボール」です。でも意味は「フットボール」ではなくて、日本語で言う「サッカー」のことですから、注意してくださいね。今はまだキリル文字を読むことになれるということに主眼を置いていますが、先に進んでくるとキリル文字を使って、自分でロシア語作文をするような練習もすることになります。そのときにたとえばカタカナの「ラ行」の音は、「р」だったのか「л」だったのか自信がないときがあります。そんなときにヒントになるのが、英語で書いたときのスペルです。ロシア語の「р」の音は概ね英語の「r」、ロシア語の「л」の音は概ね英語の「l」に相当します。英語でボールのことは「ball」と書きますね。そのことを考えれば使うべきキリル文字は「л」だということがわかります。ちょっと頭の片隅においておいてください。

さて概ね発音できてもちょっとだけ発音が違っていた人がいたのではないですか?正解をカタカナ表記したので仕方がないのですが、正解のようなカタカナ表記をしたのには理由があるのです。その理由を解説しましょう。

では音とウダレーニエの関係も分かったところで更に練習してみることにしましょう。次のキリル文字で書かれた単語を発音してみてください。
1.салат
2.пельмени
3.шашлык
4.борщ
5.перец
6.чѐрная икра
7.кофе
8.майонез
9.соус
10.сахар

では回答に進みましょう。お気づきですね。ここに書いたのはすべて料理・食べ物に関する単語ですよ。つまりこれが発音できればロシア語で書かれたレストランのメニューを読むことができるというわけです。

1.「サラート」と発音します。英語では「salad」ですね。もちろん「サラダ」の事です。「ア」の音はウダレーニエがないからといって大きな音の変化はしないですが、ウダレーニエが置かれるとはっきりと長く発音するという点はほかの母音と変わりません。

2.「ピリミェーニ」と発音します。ウダレーニエが置かれていない「e」の音はまるで「イ」のように発音されています。このようなタイプの音の変化は気にしすぎると発音ができなくなってしまう人もいるのですが、まずは「ウダレーニエが置かれている母音を強く、長く発音する」と覚えてください。日本人が発音する母音の音は、ロシア語の音よりも一般的に言って「曖昧で弱い音」になることが多いですから、ウダレーニエの場所にだけ気をつけていれば自然にこんな発音になると思いますから。ちなみにこれも有名なロシア料理です。日本語では「ペリメニ」と書かれることの多い「ロシア風の餃子」のことです。

3.「シャシュリーク」と発音します。ロシア風の串焼きの事ですね。ロシアは国土が広いですから、このような遊牧民族風の料理も存在するのです。

4.「ボールシチ」と発音します。これも有名なロシア料理「ボルシチ」の事ですね。

5.「ピエーリツ」と発音します。ちょっと難しい単語ですが、これは「胡椒(こしょう)」のことです。私は「胡椒はピリーッとする」と言って覚えました。苦しい語呂合わせですが、もしお役に立てれば。

6.「チョールナヤ・イクラー」と発音します。これは直訳すると「黒い魚の卵」。つまり世界三大珍味のひとつ「キャビア」の事ですね。ちなみに世界三大珍味とは「キャビア」「フォラグラ」「トリュフ」のことだそうです。

7.「コーフィ」と発音します。もちろん「コーヒー」の事です。二つ目の母音は、ウダレーニエが置かれていないので弱い「イ」のような音になっています。

8.「マイアニェーズ」と発音します。「マヨネーズ」をキリル文字で表現するとこんな風になります。

9・「ソーウス」と発音しますが、意味はなんと「ケチャップ」の事です。

10.「サーハル」と発音します。これは「砂糖」の事ですが、英語の「sugar」とは似ても似つかない音になっていますね。ロシアの文人に「サハロフ博士」という人がいましたが、この人の名前は「砂糖」にちなむ名前がついています。私はこの「サハロフ博士」の名前で「サーハル」という単語を暗記しました。

さて規則としてまとめると難しい気がする人もいるかもしれませんが、要はロシア語ではウダレーニエがどこにあるかだけに注意して、キリル文字のとおりに発音するつもりで発音すれば何とかなりそうだという気になりましたか?
文字をローマ字読み的に発音するロシア語は、日本人にとっては比較的発音しやすい外国語です。もちろん日本語にはない音で、日本人が苦手とする音もあるにはあるのですが、細かなところよりもまずは大きなところをつかんで、おおらかに勉強を進めてください。

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