ロシア語での所有格の作り方

さて動詞の現在形規則活用は覚えていますか?
ロシア語 動詞の活用形

ここでは規則活動動詞と今までに登場した単語+アルファを使って様々なロシア語の文を話す練習をしながら、名詞と代名詞の「生格」について学習するのが主たる目的です。


「生格(せいかく)」というのは変な名前ですね。これは英語で言えば「所有格」と呼ばれる形のことです。ギリシア語やラテン語の文法では「属格(ぞっかく)」、ドイツ語文法では「第二格」と皆好き勝手に読んでいるのですが、英語で言えば○○に当たる表現と説明するのが一番皆さんにとって分かりやすいと思いますから、このサイトでは文法用語の例えは英文法の用語を使って行うことにします。

しかし英文法、特に学校英文法の用語が厳密な言語学の用語であるとは思わないで下さいね。あくまで覚えやすくするための方法論として学校英文法の用語を使って説明しているだけですから。このあたりをより深く勉強したい人がいたら図書館などで言語学の書籍を読んで見て下さい。ロシアは偉大な言語学者を沢山生み出した国なのですから。

では本題を進めます。「生格(せいかく)」つまり英語で言う「所有格」の作り方は次のような規則に従っています。
1.「男性名詞」「中性名詞」の「生格(所有格)」では、語尾が「а」または「я」になる。
2.「女性名詞」の「生格(所有格)」では、語尾が「ы」または「и」になる。


具体的に見ておきましょう。
「男性名詞」と「中性名詞」の例として次の単語を覚えてもらいましょうか?
брат ブラート 兄弟
музей ムゼイ 博物館
место ミェスタ 場所
море モーリェ 海

どれが「男性名詞」でどれが「中性名詞」か区別の方法は覚えていますか?自然の性別がある単語である「兄弟」はもちろん「男性名詞」ですね。そして「子音」で終わる単語はほぼ間違いなく男性名詞です。ですから「брат ブラート」は100パーセント間違いなく「男性名詞」。この単語はなんとなく英語の「brother」という単語に似ていますね。

「o」や「e」で終わる単語は「中性名詞」がほとんどでしたから「место ミェスタ」と「море モーリェ」は「中性名詞」ですね。女性名詞は後でみるように語尾が「ア」の音になりますから、「中性名詞」でも「女性名詞」でもない「музей ムゼイ」は「男性名詞」となります。重要な論点ですから、再度ポイントをまとめると
名詞の「性別」
1. 自然の性別がある名詞は、その性に合わせる
2. 自然の性別のない名刺は、語尾で区別する。

特に 子音で終わる名詞・・・男性名詞
語尾が「ア」の音で終わる名詞・・・女性名詞
語尾が「o」「e」のスペルで終わる名詞・・・中性名詞


では本題の「生格(所有格)」をつくりましょう。
брат ブラート ⇒брата ブラータ「兄弟の」
музей ムゼイ ⇒музея ムゼーヤ「博物館の」
место ミェースタ ⇒места メースタ「場所の」
море モーリェ ⇒моря モーリャ「海の」

どうやら語尾が子音で終わっている「男性名詞」と「o」のスペルで終わっている「中性名詞」では語尾を「a」に変化させて、それ以外では「я」になるのだなというイメージがつかめれば正解です。

次に「女性名詞」の例として次の単語を覚えてもらいましょう。
Москва マスクヴァー モスクワ(地名)
Япония イポーニャ 日本(国名)

語尾がいずれも「ア」の音で終わっていますから「女性名詞」であることには間違いないですね。これらの「生格(所有格)」はそれぞれ次のような形になります。
Москва マスクヴァー ⇒Москвы マスクヴィー「モスクワの(地名)」
Япония イポーニャ ⇒Японии イポニー「日本の(国名)」
これも語尾が「a」で終わっていれば「ы」に、それ以外のときには「и」に語尾が変化するのだなというイメージで今のところはよいと思います。

これで「生格(所有格)」のつくり方は何とかわかりましたね。では実際の使い方を見ておきましょう。
карта Москвы カールタ・マスクヴィー
「カールタ」というのは「地図」をこの場合意味しています。そして語尾が「ア」で終わっていますから「女性名詞」ですね。「生格(所有格)」は名詞に後ろから係って、意味は「モスクワの地図」ということになります。

さて「生格(所有格)」の説明のところでは、ロシア語では必ず次の構文を勉強することになっていますから、ここでもその伝統に従っておきましょう。それは
у +生格+есть+名詞 ▲▲には○○がある
у +生格+нет+名詞 ▲▲には○○がない

という構文です。一つ例文を出してみましょう。我々英語を最初に出会う外国語として勉強している日本人にとってちょっと不思議な形をしています。

у меня есть брат. ウ・ミニャー・イェースチ・ブラート
私には兄弟がいます。
у меня нет брата. ウ・ミニャー・イェースチ・ブラータ
私には兄弟がいません。

英語など他のヨーロッパ系の外国語では、「have」に相当する動詞を使って表現するようなことをロシア語ではこんな不思議な形で表現するのです。英語的に直訳すると 「私のところには兄弟が存在する」「私のところには兄弟が存在しない」というような形になっています。「イェースチ」は存在を表現する動詞ですが、この例文以外で登場することは少ない単語です。多くの場合、省略される単語なのです。

何よりも不思議なのが、否定文になったときで「イェースチ」は使わず「二ェート」だけを使い、しかも後ろにある名詞は「ブラータ」と言う風に「生格(所有格)」になっています。
この「生格(所有格)」は専門的に言うと「数量生格(すうりょうせいかく)」という特殊な文法で、ロシア語ではゼロを含めて数字の後に名詞が来るときには「生格(所有格)」が来ることになっています。「one of 名詞」「two of 名詞」のようなイメージでロシア人は「数字プラス名詞」を把握しているのだと考えれば、それほど不思議ではない文法なのですが、やはりなれないとちょっと抵 抗を感じますね。

ではこの新しい構文を自由自在に使うために、もう少し単語を覚えてもらいましょう。
「y」の次に来ている「меня」は実は「я ヤー 私」という代名詞の「生格(所有格)」です。他の所有格も勉強しましょう。
ты トゥイ「君」⇒ тебя ティビャー
он オン「彼」⇒его イヴォー
она アナー「彼女」⇒еѐ イヨー
мы ムィ「私たち」⇒нас ナース
вы ヴィ「あなた方、あなた」⇒вас ヴァース
они アニー「彼ら、彼女ら」⇒их イフ
кто クトー「誰」⇒ кого カヴォー

さていかがでしょうか?覚えるしかないところではありますが、この中でまずどれを覚えればよいかといえば、やはり一人称と敬称二人称ですよ。これが一番会話の中で活躍しますから。

では先ほどの例文
у меня есть брат. ウ・ミニャー・イェースチ・ブラート
私には兄弟がいます。
を今勉強した代名詞の「生格(所有格)」を使って変化させて見ましょう。

練習問題
1. 例文の「私には」を「あなたには(敬称二人称)」を使って書き換えてください。
2. 2の「あなたには」を「彼には」を使って書き換えてくださ い。
3. 2の「兄弟」を「姉妹」を使って書き換えてください。
4. 3の「姉妹」を「モスクワの地図」を使って書き換えてください。
5. 4の「彼には」を「誰には」を使って書き換えてください。

いかがでしょうか?書き換え問題を解答しながら、この例文の使い方がわかってきたのではないでしょうか?

では解答に入ります。
最初の問題は簡単ですね。
У вас есть брат. ウ・ヴァース・イェースチ・ブラート
が解答となります。使用頻度の高い「敬称二人称」の代名詞の「生格(所有格)」の問題ですね。ちなみにこの文を疑問文してくださいといわれたらすぐにできますか?
一般に平变文と疑問文は同じ形でイントネーションを変化させればよかったのですから
У вас есть брат? ウ・ヴァース・イェースチ・ブラート
という具合に、文の最後を尐し上げるような感じで発音すれば疑問文になりましたね。

次の問題はちょっと意地悪問題です。どこが意地悪かというとまだ説明していないことが一つだけ含まれているのです。
まずいままで学習した内容だけから解答すると次のようになりますね。
У его есть брат. ウ・イヴォー・イェースチ・ブラート

ところが三人称の代名詞の「生格(所有格)」はいずれも「母音」で始まっていて、「y」という母音と連続すると発音しづらいので、前に「н エヌ」をつけて次のように言うのです。
У него есть брат ウ・ニヴォー・イェースチ・ブラート
発音上の規則があったのですね。

次の問題には「姉妹」という単語が使われていますが、覚えていますか?なんとなく英語の「sister」に似ていなくもない単語でした。そうです。「сестра シストラー」でしたね。これを代入すれば、解答は次のようになるはずです。
У него есть сестра. ウ・ニヴォー・イェースチ・シストラー

次はどうでしょうか?この節の最初ところで説明した単語が登場しています。
У него есть карта Москвы.
ウ・ニヴォー・イェースチ・カールタ・マスクヴィ
となりますね。

最後の問題です。「誰のところにモスクワの地図がありますか?」というのが単語に忠実な直訳ですが、「誰がモスクワの地図をもっているのですか?」という意味ですね。
次のようになるはずです。
У кого есть карта Москвы?
ウ・ニヴォー・イェースチ・カールタ・マスクヴィ
疑問詞が使われているので、最後のクエスチョンマークは忘れないでくださいね。

最後に気が付いた人がいるかも知れませんが、本来英語の「g」のような音であるはずの「г」がこの節の代名詞の「生格(所有格)」では、まるで「v」のような音で発音していますね。これは発音上有名な例外なのです。この場で覚えておくとよいと思います。

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