ロシア語を使った簡単な構文を覚えよう

キリル文字にも段々慣れてきましたね。ここでキリル文字の読み方を練習しながら単語を少しずつ増やしてみることにしましょう。とは言うもののまだ動詞の活用などを含む文法は勉強していないですから、いままでに学習した表現と組み合わせて使うことが出来る身近な単語に限ってご説明することにします。

では下準備として次の表現を覚えることにしましょう。
<これは○○です>
この表現は英語で言えば「This is ○○」に相当する表現です。まずはこの例文を暗記しましょうか。
Это вода. エータ・ヴァダー

最初の「エータ」というのが英語の「this is」に相当する表現です。ロシア語では「Be動詞」に当たる動詞は省略されることが多いので、より正確に言えば英語の「this」に当たる言葉がこの「エータ」です。

「ヴァダー」は、ウダレーニエがおかれていない最初の母音が「オ」とも「ア」ともつかない曖昧な音になっています。これは英語の「water」に当たる単語で「水」という意味です。「water」になんとなく似ていますから覚えやすいですね。

ところでこの「エータ」という表現は複数にも使えます。たとえば
Это мост и дом. エータ・モースト・イ・ドーム
というのは「これは橋と家です。」という意味ですが、後ろに複数の単語がやってきても使える表現なのです。とても簡単ですね。ちなみに「イ」は英語の「and」に相当する単語です。

これと今までに登場したことのある疑問詞を組み合わせて次のような表現を作ると「これは何ですか?」という意味になります。「エータ」は後ろに複数のものがやってきてもいいですから、複数のものを指差して「これは何ですか?」という意味の文として使うこともできます。
Что это? シトー・エータ

ウダレーニエのお話はしたことがありますが、ここでは文全体のイントネーションのお話を少しだけしておきましょう。英語でもそうでしたが、「はい」「いいえ」で答えることのできる疑問文は、少し文の後ろを上げ気味に発音して、そうでないときには少し下げ気味に発音しましたね。ロシア語でもそのことは妥当します。文全体のイントネーションは英語と同じと覚えておきましょう。

ここまでの表現でこんな会話文が作れますね。
A: Что это? シトー・エータ
B: Это вода. エータ・ヴァダー

非常に短い会話文ですが、活躍の場が多い文例です。たとえばロシア語圏に行って、初めて見るものを指差して、ロシア語でなんと言うかを聞くことができますし、そもそもロシア語の単語を度忘れしたときなどにも役立ちます。

ではいくつか日常的によく使う単語をご紹介しますので、その単語を使って「エータ」の表現を練習することにしましょう。

練習問題 次の日本語をロシア語に直してください。
1.これは何ですか?これは写真(фотокарточкаファタカールタチカ)です。
2.こちらは私の父親(мой отецモイ・アチェーツ)です。
3.こちらは私の母親(моя матьマヤー・マーチ)です。
4.こちらは私の妻(моя женаマヤー・ジナー)です。
5.こちらは私の夫(мой мужモイ・ムーシ)です。
6.こちらは私の息子(мой сынモイ・スィーン)です。
7.こちらは私の娘(моя дочьマヤ・ドーチ)です。
8.これは何ですか?これは学校(школаシコーラ)です。
9.これは何ですか?これは教会(церковьツェルカヴィ)です。
10.これは何ですか?これは病院(больницаバリィニーツァ)です。

ヒントが書いてありますから、それほど難しくなかったのではないでしょうか?では解答です。
1.Что это? Это фотокарточка.
シトー・エータ?エータ・ファタカールタチカ
「ファタカールタチカ」とは長い単語ですが、この単語でロシア語の単語がどうして長いのかがわかりますから、解説することにしましょう。
「ファタ」は英語の「photo」と同じく「光」を意味する「綴り」です。「カールタ」という「はがき」「紙に何かを書いたもの」という意味の単語があって、最後に「縮小語尾」と呼ばれる語尾「チカ」がついてひとつの単語になっているのです。語源に忠実にこの単語を日本語に訳してみると「光を使って紙に何かを焼き付けた小さなもの」ということになります。このようにロシア語の単語は短い単語が基本となって、それがいくつもつながってひとつの長い単語が形成されるのです。この本の中には短い単語を中心として、基本単語を例文の中に入れてみましたが、この短い単語がいくつか組み合わせられた「複合語」の意味もこの本をしっかり勉強した人には理解できるようになるでしょう。その時が来るまでがんばりましょうね。

2.Это мой отец.
エータ・モイ・アチェーツ
「アチェーツ」が「父親」という意味で「モイ」が「私の」という意味にな りそうだということは想像できますね。ところでロシア語の名詞にはあとで説明するとおり「男性名詞」「女性名詞」「中性名詞」の三つがあって、それぞれにつく形容詞の形がことなります。ここで登場した「モイ」は「私の」という意味の単語が「男性名詞」につく時の形です。

3.Это моя мать.
エータ・マヤー・マーチ
今度は「マヤー」が「私の」という意味になっていそうだと想像できますね。これは「女性名詞」の前に来るときの「私の」の形です。

4.Это моя жена.
エータ・マヤー・ジナー
さて今度も女性名詞の前に来る形が登場しましたね。「妻」という「女性名詞」が後ろに存在するからです。

5.Это мой муж.
エータ・モイ・ムーシ
今度は男性名詞「夫」の前につく「モイ」という形が登場しました。「モイ」はなんとなく「my」に似ていなくもない発音ですね。

6.Это мой сын.
エータ・モイ・スィーン
男性名詞「息子」です。英語の「son」という単語と母音が尐し異なっているだけだということで私は昔覚えました。

7.Это моя дочь.
エータ・マヤー・ドーチ
女性名詞「娘」ですね。英語の「daughter」に似ていなくもない発音ですが、やや覚えにくい単語ですね。

8.Что это? Это школа.
シトー・エータ?エータ・シコーラ
「シコーラ」という単語は「学校」という意味ですが、英語の「school」と似ていますね。語源が同じなのです。「school」と似ているということを知っていれば、「ラ」の音が「л」という「l」の音を表現する文字で表現されることも間違えないですみますね。

9.Что это? Это церковь.
シトー・エータ?エータ・ツェールカヴィ
旅行先で出会うことも多いと思ってこの単語を問題に登場させてみました。英語の「church」とは似ていない特別な単語ですね。

10.Что это? Это больница.
シトー・エータ?エータ・バリニーツァ
「バリニーツァ」というのが「病院」という意味の名詞です。さてこの練習問題ではわざと自然の性別を持つ単語にだけ「私の」をつけた問題を出題しました。ロシア語の名詞は「男性名詞」「女性名詞」「中性名詞」の三種類に分類できますが、自然の性別をもっている名詞は一般にその性別に従います。「妻」「母親」「娘」が「女性名詞」で、「夫」「父親」「息子」が「男性名詞」であることは説明するまでもなく明らかですね。

ところで「写真」や「学校」「教会」「病院」は何名詞なのでしょうか?そしてそれはどうしてわかるのでしょうか?ここではヒントだけを出しておきます。

自然の性別がない名詞の場合には、単語の語尾を見ればほとんどの場合、何名詞かを想像することができます。
せっかくですからひとつだけ規則を覚えてもらいましょうか?
ロシア語では「ア」の音が語尾にあるときには「女性名詞」

実はこの規則は多くのヨーロッパ系の言語にも妥当するのです。覚えやすい規則ですから、まずはこれくらいを頭に入れておきましょう。
<ほら○○があるよ>
それでは次の便利な表現の紹介です。まず例文です。
Вот дом. ボット・ドーム

この表現は英語で言う「there is (are)構文」です。「ほら○○があるよ。」という意味の表現です。読者の多くの方が英語の時間にこの「there is(are)構文」を勉強していると思いますが、ほとんどの学校であまり詳しくこの表現を説明していません。ついでですから、ここでご説明しておきましょう。
1. There is a book on the desk.
2. There is the book on the desk.

上の二つの英語の中で一つは間違っています。どちらが間違いなのか、そしてどうして間違いなのかお分かりになりますか?
間違っているのは「2」です。TOEICの参考書などでも書いてあると思いますが、ほとんどは「there is(are)構文」は「「the +名詞」には使わない」という現象面だけが書かれています。本質を理解しなければ単なる暗記になってし まいますから、むしろ次のように覚えるべきです。

「there is(are)構文」は、「その存在に気がついていない相手方に対して指差しながら、存在を教える表現」で「ほら○○があるよ。」という意味である。
存在を相手が知らないわけですから「the +名詞」よりも「a+名詞」の方がつながりやすいのです。

ロシア語の「ボット」も同じです。
ところで「○○はそこにある。」とか「○○はここにある。」とかいう表現はどうすればいいでしょか?微妙に「ボット」の使い方とは異なることがお分かりになりますか?たとえば「その本はここにある」という表現は「the+名詞」ですから、「there is(are)構文」は使えません。つまりロシア語でも「ボット」構文は使わないのです。そんなときには次のように表現します。

Дом там. ドーム・ターム
Мост тут. モースト・トゥート
意味はそれぞれ「家はそこにあります。」「橋はここにあります。」という意味になります。
これを使った疑問文は次のようになります。
 Дом там? Да, дом там. ドーム・ターム?ダー・ドーム・ターム

「ダー」というのはすでに登場していますが、ロシア語で「Yes」という意味でしたね。

では練習問題をやってみることにしましょう。
練習問題 次の日本語をロシア語に直してください。
1.ここに机(столストール)はありますか?はい、あります。
2.ここに地図(картаカールタ)はありますか?
3.ここに机といす(стул ストゥール)があります。
4.机はここにあり、いすはそこにあります。
5.ここにモスクワ(Москваマスクヴァー)がある。そこにボルガ川(Волгаボールガ)がある。

さあいかがでしたでしょうか?では解答です。
1.Стол тут? Да, стол тут.
ストール・トゥート? ダー・ストール・トゥート

2.Карта тут?
カールタ・トゥ-ト

3.Тут стол и стул.
トゥート・ストール・イ・ストゥール

4.Тут стол. Там стул.
トゥート・ストール。ターム・ストゥール

5.Тут Москва. Там Волга.
トゥート・マスクヴァ。 ターム・ボールガ

さていかがでしたでしょうか?ここまでの問題は比較的簡単だったと思います。さてそろそろちょっと難しい問題を出題してみましょうか?この問題の中には新出単語が含まれていますが、英語の単語からの類推で想像できるものが含まれています。また文脈から判断できるものもあります。まずは発音してみて、その音から意味を推理してみてください。

練習問題 次のロシア語の文の意味を日本語で答えてください。
1.Студент Витя Никитин говорит: 《Я студент. Мой отец - профессор.》
2.Соня говорит по-русски: 《Это газета(雑誌) и книга(本). Вот стол, лампа и стул.》

さていかがでしたでしょうか?想像力が働きましたか?では解答に入りましょう。
1.学生であるヴィーチャ・ニキーチンは言います。「私は学生です。私の父は教授(教師)です。」
発音は「ストゥージェント・ヴィーチャ・ニキーチン・ガヴァリート・ヤー・ストゥージェント・モイ・アチェーツ・プラフィエッサル」となります。
「ストゥージェント」とか「プラフィエッサル」とか想像できましたか?「ガヴァリート」は英語の「speak」に相当するロシア語の単語の三人称単数形です。動詞を使った表現は次の章から本格的に入りますが、ロシア風のコーテーションマークがついているので、「会話文かな」と想像してもらいたかったのです。

2.ソーニャはロシア語で言います。「これは雑誌と本です。ほらそこに机とランプといすがあります。」
そして発音は「ソーニャ・ガヴァリート・パ・ルースキー・エータ・ガゼータ・イ・クニーガ・ボット・ストール・ランパ・イ・ストゥール」となります。
「ガゼータ」と「クニーガ」はちょっと想像しづらい単語なので、問題文にヒントを入れておきました。

キリル文字にもなれてきましたか?
キリル文字になれ、重要表現をクリアした皆さんはいよいよ動詞の活用や名詞の活用も含めた本かく的なロシア語の世界に入ることなります。気を引き締めてがんばりましょう。

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