世界一親切な民族は?スラブ系民族が世界一親切な理由とは?

私はその日出会ったばかりの女性の自宅に誘われた。そして私が彼女の自宅に到着するやこう言った。
「好きなだけここにいて」
私は学生時代の1990年、ブルガリアを旅していた。ある小さな村の博物館で、彼女と出会った。博物館を歩いていると、職員が私を呼び止めた。英語が話せる職員がいるから紹介するという。それが私と彼女との出会いだった。

私達は夕方までおしゃべりした。そして職員専用のバスがあるから、それで一緒に閉園したら町まで帰ろうと彼女は言った。私は町の中央バスターミナルに荷物を預けていたのでちょうどよかった。
町のバスターミナルで、彼女は私が預けていた荷物を手にした。そして「家に行きましょう」と言った。私はお茶をご馳走してくれるのだろうと思った。

そして彼女の家に着いた時の言葉が冒頭のものだった。
彼女は当時40代。離婚しており、17歳になる美しい娘と、60代の母親の3人で暮らしていた。私は彼女の家で3日間お世話になった。彼女は私にお金を要求することは全くなく、私に恋愛感情を持っていたわけでもなかった。ただの親切心から、私を自宅に泊めたのだった。

ロシア人をはじめとするスラブ系の人々の親切心は世界一だと思う。
スラブ系の人々は一見すると、とっつきにくそうに感じる。向こうから積極的に話しかけてくることがほとんどないからだ。しかし一度会話をすると、たいていはすぐに仲良くなる。しばしば自宅に招いてくれ、美味しい食事を振舞ってくれる。私はスラブ圏の国々を旅して、何度も同じような体験をした。

ある時はマケドニア人の家に、20日間以上も泊めてもらった。そのときも出会ったばかりのマケドニアの男性に自宅に誘われた。彼は自営業で比較的時間のある生活をしていたため、いつも運転して私に多くの政治家や市民活動家などのところに連れていってくれた。私がちょうどマケドニアの民族問題のドキュメンタリーを自主制作していることを知って、様々な面で手伝ってくれたのだった。そして私の滞在費が底を尽くと、周りの人々からお金をかき集めてくれた。現地の人にとって3ヶ月分ぐらいのお金だった。「これで日本に帰れ」と彼は言った。

彼も私には一切のお金を要求しなかった。このような出会いは、まさに人生の宝だ。
スラブ圏で私は当初、ドイツ語とロシア語の片言で話していた。英語は当時、空港と大きなホテル以外ではほとんど通じなかった。

あるブルガリア人の食卓に誘われたときのこと。
「フクースナ!」
私はロシア語でそのおいしい料理を讃えた。すると彼らはこういった。
「ブルガリア語ではフクースノだよ」

私がスラブ語同士の近さを始めて知った瞬間だった。
ロシア語などのスラブ語のどれか一つが話せると、想像以上に多くの場所で話が通じる。ロシアをはじめ、ウクライナ、チェコ、ポーランド、ブルガリアなど。広大なエリアだ。

私はその後ブルガリア語を勉強するようになった。そして隣国のマケドニアに行ったとき、マケドニアの人々から何度かこう言われた。「あなたは私たちの言葉を話すのね」。実際ブルガリアとマケドニアでは違う言語だが、非常に似ている。そのため首脳会談も通訳なしだとか。

スラブ系の人々は今や世界に多い。米国への移民も多いし、EUへの出稼ぎ者も多い。そのため思わぬ所でスラブ語が通じる体験をする。私が体験した最も意外だった場所は、米国アイオワ州の片田舎。人よりも牛の方が多いほどの場所でウクライナ系の移民と出会った。彼らは移民の一世で、英語がほとんどできず日常会話はウクライナ語だった。そこでも私はスラブ人特有とも言える非常に心温かい歓迎を受けたのだった。

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