ロシア語 動詞の活用形

さていよいよ本格的に文法のお話も登場します。気を引き締めて進みましょう。人称代名詞については既に語彙を増強したときにご説明していますね。ここでもう一度復習しておきましょうか。

ロシア語の1人称・二人称・三人称




ロシア語の特徴として名詞が6つの格変化をするということは覚えていらっしゃるのではないでしょうか?いやな予感がしませんか?そうです。代名詞も変化します。英語の「he,his,him,his」よりも変化の数が多くて、所有格に当たる「生格」は名詞の性別や数でも変化します。

でも安心してください。変化するといっても一定の規則がありますし、一度に全ての変化を覚えてもらうような馬鹿な真似はするつもりは毛頭ありません。そんなことをしたら覚えるのが嫌になりますからね。

ここではまずは主格だけを使います。そして何をするかと言えば、動詞の現在形変化を勉強するのです。英語で勉強したことがあると思いますが、動詞には目的語をとる「他動詞」と目的語をとらない「自動詞」がありましたね。「他人を動かすから他動詞」「自分で動けるから自動詞」と言って、かつて生徒たちには教えていたことがあります。目的語をとる動詞の場合には、名詞は「対格」という目的語になるときの形になりますから、まだここでは説明しません。主語と動詞で話が出来る一番簡単な文が作れるようになるのがここでの目標です。

まずはどの教科書でも登場する有名な動詞の活用の例を紹介することにしましょう。
次に紹介する動詞は第二変化動詞と文法の時間に教えられる「話す(=speak)」という意味の動詞「говорить(ガバリーチ)」の活用です。
ロシア語の動詞の原型語尾は「ть」または「ти」で終わりますが、後で説明する助動詞の原型などの後以外は原型語尾の変わりに活用語尾をつけて活用させます。

人称代名詞をつけて活用を紹介しましょう。
Я говорю. ヤー・ガヴァリュー 私は話します
Ты говоришь. トゥイ・ガヴァリーシィ 君は話します
Он говорит. オン・ガヴァリート 彼は話します
Мы говорим. オン・ガヴァリーム 私たちは話します
Вы говорите. ヴィ・ガヴァリーチェ 君たちは(あなたは)話します
Они говорят. アニー・ガヴァリャート 彼らは話します

この六つの文はまるで呪文のように発音練習するとよいと思います。これがすべての活用の基本となるのですから。完全に暗記できるようになるまで毎朝、暗証する練習をすることをお勧めします。

ここでこの大切な六つの文の発音についていくつか注意事項を補足しておくことにしましょう。ウダレーニエが置かれていない「o」の音がすべて「オ」と「ア」の間の曖昧な音になっていることはもう大丈夫ですね。

次に今まであまりご説明する機会のなかった「ы」の文字の発音について補足しましょう。この音はドイツ語の「ウー・ウムラウト」の音に酷似した音です。まずは口を丸く前に突き出して「ウ」と発音するような形に構えてください。次にそのまま「イ」と発音してみてください。「ウ」と「イ」を一緒に発音したようななんともいえない音になりましたね。これがここで発音するべき音です。活用の練習をしながら、この難しい音も一緒に身につけるようにしましょうね。




さてではここで練習問題といきましょう。この六つの文を使った練習問題です。
もちろん必要に応じてヒントは出しておきますから、自信をもってチャレンジしてくださいね。

練習問題 指示にしたがってロシア語作文をし、作文したロシア語の文を発音してみてください。
1.「私はロシア語を話します。」をロシア語にしてください。(по-русски パ・ルースキー:ロシア語で)
2.1.を否定文にしてください。
3.2.の主語を「あなた」にしてください。
4.3.の主語を「彼」にしてください。
5.4.の主語を「彼ら」にしてください。
6.5.の主語を「私たち」にしてください。
7.6.の主語を「あなたたち」にしてください。
8.7.を肯定文にしてください。
9.8.を疑問文にしてください。
10.9.の疑問文に「はい」で答えてください。
11.9.の疑問文に「いいえ」で答えてください。

さてどうでしたか?最初はスムーズに活用を思い出すことができなくても、何度も繰り返してすらすら回答できるようになってください。この手の練習は反射神経がものを言います。

解答は次のようになります。まず1番です。
Я говорю по-русский.
ヤー・ガヴァリュー・パ・ルースキー
ロシア語では「ロシア語を話す」ではなくて「ロシア語で話す」と言う表現をするのです。
語彙を増やせば「日本語で」とか「フランス語で」とか言う表現も出来るようになるはずですね。

せっかくですからここで語彙を増強しておきましょう。
по-японский パ・イポーンスキイ 日本語で
по-англииский パ・アングリイスキイ 英語で
по-фанцузкий パ・フランツゥースキイ フランス語で

これを代入すればすぐに「日本語で話す」「英語で話す」「フランス語で話す」というロシア語作文が出来るようになるはずです。

2番の問題の解答です。
Я не говорю по-русский.
ヤー・ニ・ガヴァリュー・パ・ルースキー
ロシア語の否定文は否定するべき単語の前に「не」を入れると出来上がりで す。これは覚えやすいですね。

3番目の解答は次のようにした人が多いのではないでしょうか?
Ты не говоришь по-русский.
トゥイ・ニェ・ガヴァリーシ・パ・ルースキー
もちろん正解です。「君」という二人称単数形を利用した場合にはこのような解答になります。ところが
Вы не говорите по-русски.
ブゥイ・ニェ・ガヴァリーチェ・パ・ルースキー
と書いた人がいたとしてもこれもまた正解なのです。むしろ外国人が始めてロシア語で話すときにはこちらの方が多いのではないでしょうか?

この点をちょっと詳しく説明しておくことにしましょう。
フランス語やイタリア語、ドイツ語といった英語以外の外国語を勉強したことのある人はもしかしたら勘が働くかもしれませんね。
ロシア語では、親しい間柄で話す「君」という代名詞のほかに、それほど親しくない人の間で使う「あなた」という代名詞があり、一つ目の解答が「君」、二つ目の解答が「あなた」という代名詞を使った場合の解答となっていたのです。

我々日本人がロシア語を話す場合、相手とまだそれほど親しくない場合が多いですから、当然二番目の代名詞を使うことが多くなるということなのです。

4番目の問題の解答です。
Он не говорит по-русский.
オン・ニェ・ガヴァリート・パルースキイ
ここでは「彼」という代名詞を使いましたが、もちろん三人称単数形に相当する固有名詞でも同じような表現が出来るはずですね。

そして五番目の問題の解答は、次のようになり三人称複数形の活用ができるかどうかを試す問題でした。
Они не говорят по-русский.
アニー・ニェ・ガヴァリャート・パ・ルースキイ
五番目です。「私たち」という一人称複数形の練習ですが、語学で動詞の活用を勉強するときには、まず第一に一人称を暗記し、次に二人称(とくに「あなた」に相当するいわゆる「敬称二人称」)を覚えて、最後に三人称を覚えるというのが即席で活用を覚えなければならないときの定石です。(はじめてその外国語を話す人はまず自分のことと相手のことしか話さないから)とても大切な活用ですよ。
Мы не говорим по-русский.
ムィ・ニェ・ガヴァリーム・パ・ルースキイ

次は二人称複数形です。解答は
Вы не говорите по-русский.
ヴィ・二ェ・ガヴァリーチェ・パ・ルースキイ
です。

さて大変なことになったと感じた人はいませんか?あまり親しくない間柄で使う「あなた」と二人称複数形の「あなたがた」が同じ形になってしまいました。これでは区別がつかなくなってしまうではないか?

安心してください。文脈で理解できます。そもそも日本語には主語によって動詞の活用形が変わるという文法は存在しませんし、また日本語では主語すら省略することが多いですね。それでも日常生活で苦労しないはずです。ロシア語では活用が多いですが、外国人が話す場合、結構活用形を間違えます。動詞の活用形はまだしも名詞や形容詞の活用に至っては活用すらさせない人もいるくらいです。それでも大体の所は実は通じるのです。「あなた」と「あなたがた」が同じ形であっても心配ご無用です。

八番目の問題は簡単ですね。「二ェ」を省略すれば出来上がりです。
Вы говорите по-русский.
ヴィ・ガヴァリーチェ・パ・ルースキイ
となります。

さて九番目です。この問題は疑問文の形についての知識を聞いているのですが、想像できた人はいますか?ロシア語の疑問文の形については、まだ正式にご説明したことがありませんでしたがこれが予想できる人は語学の才能がある人だということが出来ます。
Вы говорите по-русский?
ヴィ・ガヴァリーチェ・パルースキイ?
で正解です。肯定文と同じ形で、語尾をすこし上げ気味のイントネーションで 発音すれば疑問文になります。

およそ全ての外国語に言えることですが、肯定文の形でイントネーションを変えるだけで一般に疑問文をつくることが出来ます。そしてこのタイプの疑問文が最も口語的な疑問文なのです。
もう少しきちんとした疑問文を覚えたい人は次の形を覚えてください。
Говорите вы по-русски?
ガヴァリーチェ・ヴィ・パルースキイ?
動詞と主語の語順を逆にすれば正式な疑問文となります。

10番目と11番目の問題は疑問文に対する解答の方法についての問題です。「はい」で答えたいときには
Да, мы говорим по-русский.
ダー、ムィ・ガヴァリーム・パ・ルースキイ
「いいえ」で答えたいときには、
Нет,мы не говорим по-русский.
ニェト、ムィ・二ェ・ガヴァリーム・パ・ルースキイ
となります。

ここでは「あなたがた」という二人称複数形の意味の疑問文として解答してみましたが、あまり親しくない人の間でつかう「敬称二人称」と考えた人は「私」を主語にした解答をすることになります。

さていかがでしたか?「話す」という動詞一つでも結構勉強することがありましたね。ロシア語の活用については覚え方もあるにはあるのですが、習うより慣れろというところがあるので、今後も練習問題の中で身に付けてもらおうと思います。

さて「話す」という動詞をまず覚えてもらいましたが、他の動詞の活用も覚えてみたいですね。下に重要動詞をいくつかピックアップしてみました。どれも良く使うものばかりです。まずは活用語尾になれるという意味で発音の練習にだけ使ってください。後々にも登場しますから、そのときに気になったらまたこの活用表を見て、この本を読み終えるころにはどの動詞の活用もすらすら思い出せるようになっているというのが理想の形です。

ロシア語 動詞の活用形

ロシア語 動詞の活用表

さて主格と動詞の変化形を使った文が話せるようになって少し表現が豊かになってきましたね。
今日の山場は動詞の活用ともう一つおまけに名詞の複数形のお話を加えることにしましょう。
英語では名詞に「s」をつけて複数形を作るのが基本ですが、ドイツ語やロシア語のように名詞の性別によってつける語尾が違う言語も世界には沢山あります。でも安心してください。英語よりは複雑ではあるもののロシア語の複数形は比較的覚えやすい形をしています。
まず活用表を紹介しましょう。

名刺の複数形

море(モーリェ/海)→моря(マリャー)
время(ヴリェーミャ/時間)→времена(ヴリェミェナー))
のような活用となります。イメージとしては男性名詞や女性名詞の語尾に「イ」の音、中性名詞の語尾に「ア」の音を付け加えると複数形になるというような感じです。

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